コトノオト

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オンライン学会のポスター発表をどうするか?

何の因果か,2つの学会で大会関係の委員を引き受けることになりました。どちらでもオンライン大会のことを主に担当する感じです。新しもの好きなところがあって,思いつきのまま動くので,振り回される人が増えてしまうのを不幸に思いつつ,僕なりに思うところはあるので,いろいろ考えてみてます。

その一つがポスター発表についてです。最近は言語学系の国内学会でもポスター発表が根付いてはきたように思います。根付いたといっても大会によってばらつきはあり,20件近く集まることがあると思ったら,別の大会では2〜3件ということも珍しくなく,まだあまり選ばれない形式だよなあとは思います。

オンラインでの発表は口頭発表ならzoom一択という感じになってきているように思います。でもポスターに何を使うかは正直試行錯誤な感じがします。僕の方でいくつかサービスを試したんでそのレビューを簡単にしておきます。

zoom:質問が出にくいので対策が必要

口頭発表と同じようにzoomを使うという選択肢があります。発表者はずっとポスターを画面共有して表示させておく,質問はマイクやチャットになります。これは設置側はzoomの管理に集中できるんでけっこう楽なんです。

難しいのはzoomは参加者がいるわりに質問が出にくいところ,ポスターの場合,実地だったら誰か来て眺めたと思ったら「ちょっと説明しますか?」なんて会話が始まるんですが,zoomはそういう感じじゃないですね。あと,参加者側で拡大するのをあまりやってくれない(機能としてはある)ので,「ここ拡大して」なんて言われたり。

僕が発表したときは「ポスターはパワポかPDFをずっと共有」というルールだったため,パワポの中にブラウザを埋め込みslidoで質問を受け付けてそれに答え続けるラジオの公開放送スタイル(または脱法ポスター)でやっていました。

note.comさらに,発表のための特設サイトを自分の別のブログに作ったりして宣伝と情報の集約に励みました。

researchmap.jp

このスタイルはマイクでの質問が出ないことが気にならないので発表者としてはやりやすかったです。100人ぐらいいたと思いますが,聞いてる人からするとどうだったのかちょっと不明なところが怖いです(苦笑)。

Remo:人数制限がなにげに辛い。あと高い。

Remoを使ったポスター発表は発表側というより運営側としての関わりが強かったので,どうしてもそちら寄りになってしまいます。昨年運営に入った言語学フェスではRemoを使ったポスター発表会を行いました。

こちらが告知で

note.comこちらが報告

note.comRemoはブラウザで動くビデオ会議システムで,1フロアに2〜6人ぐらいの定員のテーブルが20ぐらいあります。1テーブルが少人数なのでたいていの人はマイクとカメラを入れて話してくれます。ここを使ってポスターをしようというのはまさに音声と映像でのコミュニケーションをオンラインでもやろうという意図によるものでした。

Remoのホワイトボード(miroという別サービスを取り込んでいる)は本当に多機能で,画像だけでなくPDFを埋め込めこんだり付せんを貼ったりもできます。これを使いこなせばたぶん実地のポスターとはまた別の次元での発表ができると思います。

ただRemoでの発表も欠点はあります。例えば

  • 最初,全然知らない人のテーブルに放り込まれる
  • ぼっちになれる場所がない
  • テーブルが満員で聞きたいポスターが聞けない

といった声はいくつも聞きました。あと,これは運営側に経つと,

  • Remoは高い

という問題があります。フェスは参加人数が200人を超えそうになったので,Producerプランというものにしました。これがだいたい8万円です。1回きりのイベントに使うにはやや高額だなあと。

SpatialChat:現在の最適解?

SpatialChat(スペチャ)はRemoのようにブラウザを使うビデオ会議システムです。アイコンをマウスで動かして移動します。特徴は次のとおりです。

  • アイコン同士が近づくとカメラオンになりマイクの声が大きくなる
  • 動画の近くにアイコンを置くと動画の音声がよく聞こえる
  • リアクション(絵文字,吹き出し)を使うことができる
  • 自分で画像,動画(YouTubeなどの外部),テキストなどを貼り付けられる

これはRemoのように人数制限もなく,部屋の中に直にポスターが見えるので,雰囲気としてはかなり実際のポスターっぽくなります。

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スペチャの画面

なにげにzoomやremoと大きく違うのは「周りの声が自然に聞こえる感じ」があるところだと思います。声の大きさはアイコンの近さによって決まるので,誰かと話していても少し離れた人の声が聞こえてきます。これはzoomやremoのように話す主導権を気にすることが必要なくなるという点でいいのかもしれません。

先日ちょっと個人的に呼びかけて体験会をして15人ほどご参加いただいたのですが,評判も上々だったので,運用を詰めればけっこう全国規模の学会でも使えそうだという感触が得られました。

実際,学会発表で使った例や

www.jcrs.jp報告の記事なんてのもあります。

mera85326b.hateblo.jp

というわけで,ひとまずスペチャはかなり使えそうというところが結論です。まだコロナ禍は収まりそうもないので少しでもストレスの少ない交流ツールを使って,繋がりを持ち続けていければなあと思います。