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科研費研究種目の変遷を可視化してみた

大学で研究者をしているのですが,研究費はほぼ一律に大学からいただくもの(基盤的経費)と,国などから審査を経て採択されていただくもの(競争的資金)があります。昨今の研究業界では基盤的経費を削減し,競争的資金を増やそう(でも全体の資金は減らそう)という流れになっています。

競争的資金の中でも特に多いのは科学研究費(科研費)と呼ばれるもので,日本学術振興会(学振)や文科省厚労省などから支給されます。このうち,学振や文科省からのものについてはkakenというサイトで検索して研究課題や結果報告などを見ることができます。

kaken.nii.ac.jp

今回,ちょっとTwitterでやりとりをしている中で科研費の歴史を可視化したものがないかという話が出ました。幸いにしてkakenサイトから情報をコピーすることができたので作ってみました。

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科研費の歴史チャート

転換点は96年ごろ?

このチャートを見ると,科研費の歴史的な転換点が1996年から2002年にかけてあったことが分かります。ちょうど,一般研究が廃止され基盤研究になったところです。科学政策が専門だったりすると,この辺で誰がどういう提言をしたとかが分かるのでしょうかね。ちょっと興味深いです。

はてなだとエクセルファイルを直に置けなさそうなので,researchmapに置いておきます。よかったらダウンロードしてください。

researchmap.jp

さて,あとは作り方をメモしておきます。要はテキスト編集とエクセルでのガントチャート作成です。作り方に興味ない方はここで終わりでけっこうです。

情報をコピー

kakenには詳細検索があり,そこから「研究種目を参照」を押すと過去から現在までの研究種の一覧が出てきます。

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研究種目の一覧

正規表現を使って整形

幸いにして種目と年度の情報がテキストになっているので,コピーしてエディタに貼り付けます。

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エディタ画面

ひとまずエクセルなどに貼り付けて使えるようにしたいので不要な部分を削除したり置換したりします。行頭のスペース(タブ)は明らかに不要なので削除です。種目<タブ>開始年度<タブ>終了年度にすればいいかなと思うので,年度の左にある ( と〜をタブにして,右端の)を削除します。私はワイルドカードを使って次のようにしました。

1 \(([0-9]) → \t  ※数字の左にある開き丸カッコをタブ文字に置換
2 〜 → \t ※〜をタブ文字に置換
3 \)$ → ※行末の閉じ丸カッコを削除
4 ^     → ※行頭の半角4字を削除

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整形後

エクセルで条件付き書式を設定

そしてこれをコピーしてエクセルに貼り付けます(現行の種目には終了年がないので2021を補うのと,並べ替えたあとに元に戻せるよう左端にIDを振ってます)。そして,開始年で並べ替えると最も古いのが1965年だと分かるので,横に1965から2021まで作ります。

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エクセルに貼り付け

次に空白のセルを全て選択します(今回はE2からBI76)。この状態で,「条件付き書式」から「新しい書式ルール」を選択し,スタイルを「クラシック」にします。そして,「数式を使用して,書式設定するセルを選択」を選びます。数式は開始年以上,終了年以下になるようにします。また基準のセルは最も左上のE1とそれに関連するC2,D2になります。具体的にはAND関数を使って,次のようにしました。

AND($C2>=E$1, $D2<=E$1)

セルの書式はとにかく背景が変わるようにすれば大丈夫です。

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条件付き書式の設定

この状態でOKを押して完成です。